『誰かに認めてもらいたい』が先に来るのは『真のやりたいこと』ではないかも?
- nirin-so

- 7月9日
- 読了時間: 4分
「ねえ、これすごいでしょ?」
「もっと褒めてほしい、認めてほしい」
私たちは日常の中で、無意識に誰かの「いいね」や称賛を求めて行動してしまいがちです。しかし、ふと立ち止まったとき、こんな疑問が頭をよぎることはありませんか?
「私が本当にやりたいことって、これなんだっけ……?」
もし、何かを始めるときに「誰かに認めてもらいたい」という気持ちが真っ先に浮かぶなら、それはあなたの「真のやりたいこと」ではないかもしれません。
今回はこの疑問について、心理学の視点から紐解いていきましょう。あなたの心が本当に求めている“本物の情熱”の見つけ方が見えてくるはずです。
2つのモチベーション:「内発的動機」と「外発的動機」
心理学では、人が行動を起こす理由(モチベーション)を大きく2つに分けて考えます。
内発的動機づけ(Intrinsic Motivation)
行動すること自体が目的であり、喜びや満足感を得られる状態。例えば、「ただ楽しいから絵を描く」「知りたいから本を読む」といった、内側から湧き出るエネルギーです。
外発的動機づけ(Extrinsic Motivation)
行動の目的が、外部からの報酬や評価、あるいは罰を避けることにある状態。例えば、「褒められたいから勉強する」「地位やお金のために働く」といった、外側からの刺激によるエネルギーです。
「誰かに認められたい」という欲求は、まさにこの「外発的動機づけ」の典型例です。
誰かの承認が先にある行動は、一見するとやる気に満ちあふれているように見えますが、実はブレーキとアクセルを同時に踏んでいるような危うさを持っています。なぜなら、「他人の評価」という、自分ではコントロールできないものに自分の幸せを握られてしまうからです。
承認欲求の罠:「アンダーマイニング効果」
心理学には「アンダーマイニング効果(過正当化効果)」という有名な現象があります。
これは、もともと純粋に楽しんで(内発的動機で)やっていたことに対して、下手に報酬(外発的動機)を与えてしまうと、かえってモチベーションが低下してしまうという現象です。
ある心理実験の話
子どもたちに自由に絵を描かせます。あるグループには「上手に描けたらご褒美をあげる」と約束し、もう一つのグループには何も約束しませんでした。
後日、再び自由に遊べる時間を設けたところ、ご褒美を約束された子どもたちは、以前よりも絵を描かなくなってしまいました。「楽しいから描く」はずだった行動が、「ご褒美をもらうため」にすり替わってしまったのです。
「認めてもらいたい」が先に来る状態は、この実験の「ご褒美を待っている状態」と同じです。
最初は「好きかも」と思って始めたことでも、「どうすればもっと褒められるか?」「批判されたらどうしよう」という他人の視線ばかりを気にするようになると、心は徐々に疲弊していきます。そして、他人の反応が薄かった瞬間に、「もうやりたくない」と情熱が消え失せてしまうのです。
あなたが「やりたい」と思っているその行動は、誰も見ていなくても、1円の得にならなくても、それでもやりたいことでしょうか?
承認欲求は悪ではない。ただ「順番」が大事
誤解しないでほしいのは、「認めてもらいたい」という承認欲求自体は、人間としてごく自然な感情だということです。心理学者マズローの「欲求5段階説」でも、承認欲求は社会的動物である私たちにとって欠かせない高次な欲求として位置づけられています。
問題は、その「順番」にあります。
不健康なサイクル(承認が先)
「認められたい」→ 行動する → 評価を気にして疲れる → 評価されないとやめる
健康的なサイクル(情熱が先)
「楽しい、やりたい!」→ 没頭して行動する → クオリティが上がる → 結果として周りに認められる
真のやりたいこと(内発的動機)を突き詰めている人は、他人の評価を気にしていません。自分がやりたいからやっている。しかし、その圧倒的な熱量と純粋な楽しさは、結果として周囲の人を惹きつけ、結果的に大きな称賛(承認)を生むことになります。
つまり、承認は「最初から狙いに行くもの」ではなく、「夢中でやった後に、おまけとして付いてくるもの」なのです。
「真のやりたいこと」に出会うための自分への問いかけ
もし今、「これが私のやりたいことなのかな?」と迷ったら、ノートを開いて自分に次の3つの質問を投げかけてみてください。
「もし、SNSがこの世から消えて誰にもシェアできないとしても、私はこれをやりたいか?」
「誰からも『すごい』と言われないとしても、時間を忘れて没頭できるか?」
「失敗して恥をかくリスクがあっても、やってみたいと思えるか?」
これらの質問に「イエス」と言えるものがあるなら、それこそがあなたの「真のやりたいこと」です。
他人の目を気にして作ったハリボテの情熱は、他人の風評であっけなく吹き飛んでしまいます。しかし、あなたの内側から湧き出た本物の情熱は、誰に何を言われようとも消えることはありません。
まずは、他人の評価という「外側の物差し」をそっと横に置いてみましょう。
あなたの心が、静かに、でも確かにワクワクする瞬間を見つけてみてくださいね。

.png)


コメント