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見つけるのは生きている『意味』ではなく『意義』

「生きている意味」と「生きている意義」

似ているようで、心理学的なアプローチで見ると、この二つには「視点の向き」と「幸福感への影響力」に大きな違いがあります。

「意味」を探すと迷路に入り込みやすい一方で、「意義」を見出すことは心の安定(レジリエンス)に直結します。その心理学的根拠を3つの視点から解説します。



1. 「受動」から「能動」への転換(アドラー心理学)


心理学者のアルフレッド・アドラーは、人生そのものに決まった意味はないと説きました。


  • 意味(受動的): 「自分は何のために生まれたのか?」という問い。答えを外側や運命に求めるため、見つからないと「自分には価値がない」という虚無感に陥りやすい。

  • 意義(能動的): 「自分はこの人生をどう使うか?」という問い。アドラーが重視した「他者貢献」がこれにあたります。


自分の存在が誰かの役に立っている、あるいは何らかの影響を与えていると感じる貢献感=自己有用感こそが、心理学的な「意義」の正体です。これは自分自身で定義できるため、コントロール不可能な「運命」に振り回されることがなくなります。



2. 自己効力感と「力の欲求」(選択理論心理学)


ウィリアム・グラッサーが提唱した選択理論では、人間には5つの基本的欲求があるとしています。その中の一つに「力の欲求」があります。

これは単なる権力欲ではなく、「自分には能力がある」「自分の行動には価値がある」と実感したい欲求です。


  • 「意味」を問うことは、哲学的・抽象的な思考に留まりがちです。

  • 「意義」を問うことは、「自分のスキルや経験をどう活かすか」という具体的な行動に結びつきます。


「自分は価値のある存在だ」という感覚(自己肯定感や自己効力感)は、抽象的な「意味」を理解した時よりも、具体的な「意義」を感じる行動をとった時に強く生成されます。



3. 「人生からの問い」に答える(ロゴセラピー)


ヴィクトール・フランクルは、強制収容所での体験から「夜と霧」を著した精神科医です。彼は、人間が「人生の意味とは何か」と問うのではなく、「人生の側から、毎日あなたに問いが投げかけられている」と考えました。

「人生に何を期待するか」ではなく、「人生から何を期待されているか」を考える。

この「期待されていること(=自分にしかできない役割や責任)」に応えることが、心理学的な「意義」を見出すプロセスです。

過去の苦しい経験(例えば機能不全家族での育ちなど)に「意味」を見出すのは難しいかもしれません。しかし、その経験を糧に「今の自分にできること」を見出すことは、人生の意義の再構成(リフレーミング)になります。



結論:なぜ「意義」を探すべきなのか


心理学的に見て、「意味」を探す作業は「過去や原因」に執着しやすく、時に人を無気力にさせます。対して「意義」を探す作業は、「未来と目的」に目を向けさせます。


  • 意味: 「なぜ(Why)」という過去への問い。

  • 意義: 「何のために(For what)」という未来への意志。


「意義」を見出すことは、自分の人生のハンドルを自分自身で握り直す(自己決定感を高める)ための、最も実効性の高いメンタルワークなのです。


「生きている意味」は見つからなくても構いません

ですが、今日という一日に、あるいは自分のこれまでの経験に、どんな「意義(価値や使い道)」を持たせるかは、今この瞬間から自由に決めることができます。


この考え方は、自分自身の心の回復だけでなく、他者をサポートする際の非常に強力な指針となることでしょう。





 
 
 

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