「しか」と「も」:口癖はあなたの人生の鏡
- nirin-so

- 11月17日
- 読了時間: 4分
私たちの日常の会話には、無意識のうちに使っている「口癖」があります。
その中でも、日本語の小さな助詞である「しか」と「も」は、単なる言葉のあやに留まらず、私たちが世界をどう捉え、どう生きるかという、心理的な鏡の役割を果たしています。
もし、この些細な口癖が、あなたの人生を「不足」と「豊かさ」という真逆の軌道に乗せてしまうとしたら、あなたはどちらを選びますか?
1. 「しか」がフォーカスする「不足」の心理学
😟 欠乏マインドセットの罠
口癖が「しか」に偏っている人は、「〇〇しかない」という思考パターンに支配されがちです。
「今日は3時間しか勉強できなかった。」
「給料が20万円しかない。」
「私にはこの資格しかない。」
「しか」は、その後に続く事柄の量や質が不十分であるという、不足(欠乏)に焦点を当てます。心理学的に見ると、これは「欠乏マインドセット 」を強化します。
欠乏マインドセットを持つ人は、常に持っていないもの、足りないものを探してしまいます。
ネガティブな自動思考: 成功や達成感ではなく、「できていないこと」「失ったもの」が自動的に思考の中心になります。
自己効力感の低下: 「これしかできない自分」という認識が、自己肯定感を蝕み、「どうせ自分はダメだ」という学習性無力感につながりやすくなります。
モチベーションの低下: すでに持っているものを活用する発想に至らず、「これでは足りないから、どうせ無理だ」と行動を起こす前の諦めにつながります。
「しか」という口癖は、現状への不満と未来への不安を常に心の中で反芻させるスイッチなのです。この心理状態が慢性化すると、コルチゾールなどのストレスホルモンが優位になり、心身の健康にも悪影響を及ぼしかねません。
2. 「も」がフォーカスする「ある」の心理学
😊 豊かさマインドセットの力
対照的に、口癖が「も」に偏っている人は、「〇〇もある」という肯定的な視点を持っています。
「今日は3時間も勉強できた!」
「給料が20万円もある。」
「私にはこの資格もある。」
「も」は、その事柄を数ある選択肢や資産の一つとして認識し、既存の恵み(あるもの)に焦点を当てます。これは心理学における「豊かさマインドセット」を育みます。
豊かさマインドセットを持つ人は、今、手元にあるもの、すでに達成したことに価値を見出します。
感謝の感情の醸成: 「も」は、無意識のうちに感謝 (Gratitude) の感情を引き出します。「20万円もある」という認識は、「ありがたい」というポジティブな感情を生み出し、幸福度を高めます。
自己肯定感の向上: 既に持っている資産(知識、時間、スキルなど)を認識することで、自己肯定感が安定します。これは、より大きな目標に挑戦する際の強固な土台となります。
機会の創造: 既存の「あるもの」を活かして、次に何ができるかを考える、ポジティブな問題解決思考に切り替わります。
「も」という口癖は、現状への肯定と未来への期待を抱かせ、ドーパミンなどの意欲を高める神経伝達物質の活性化を促します。
3. 「しか」の人生から脱却し、「も」の人生を選ぶ
🚀 リフレーミングと認知行動療法
「しか」と「も」の違いは、物事をどう捉えるかというリフレーミング(枠組みの変更)の作業にほかなりません。
心理療法の分野、特に認知行動療法 (CBT)では、ネガティブな自動思考(「しか」)を特定し、それをポジティブで現実的な思考(「も」)に置き換えるトレーニングを行います。
例えば、
*貯金が50万円しかない ⇒ 貯金が50万円もあるから、当面の生活は大丈夫だ
*1点しか取れなかった ⇒ 難しい問題だったけど、1点も取れた。次はここを伸ばそう
✍️ 感謝のジャーナリングという実践
「も」のマインドセットを強化する最も簡単な心理学的実践の一つが、「感謝のジャーナリング」です。
寝る前に、今日あった「〇〇もある」と感じたことを3つ書き出すだけでも、脳はポジティブな情報に焦点を合わせるように再配線(ニューロ・リワイヤリング)されていきます。
あなたの口癖は、あなたの人生を形作る設計図です。
もし今、あなたが「不足」を感じているなら、意識的に「しか」を「も」に言い換える練習を始めてみましょう。 はじめは「も」に置き換えるのが難しいかもしれません。 その場合は、「しか」を取り除くだけでOK。
この小さな言語のスイッチが、やがてあなたの認知の習慣となり、世界の見え方、そしてあなたの人生そのものを、豊かでポジティブな方向に変えていくはずです。
さあ、あなたの次の言葉は、「しか」ですか?それとも「も」ですか?
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