「そのうちね」は心のブレーキ。無意識の抵抗が夢を遠ざける理由
- nirin-so

- 7月2日
- 読了時間: 5分
私たちは誰もが、心の中に「いつかやりたいことリスト」を抱えています。「あれもしたい、これも始めたい」と意気込むけれど、結局口から出るのは「そのうちね」の一言。このたった5文字の言葉が、実は私たちの行動を阻む強力な心のブレーキになっていることをご存知でしょうか?
心理学的な観点から見ると、「そのうちね」という言葉の裏には、私たちの無意識の抵抗や、目標達成を妨げるさまざまな心理メカニズムが隠されています。今回は、この「そのうちね」という心のブレーキがどのように機能し、どうすればそれを乗り越えられるのかを、分かりやすく解説していきます。
「そのうちね」が発動する心理メカニズム
1. 現実逃避と安心領域(コンフォートゾーン)
私たちは変化を恐れ、現状維持を好む傾向があります。新しいことに挑戦する時、私たちは未知の領域に足を踏み入れることになり、失敗への不安やストレスを感じます。この不安を避けるために、「そのうちね」という言葉を使って、行動を先延ばしにするのです。これは、慣れ親しんだ安心領域(コンフォートゾーン)から出たくないという、人間の本能的な欲求の表れと言えるでしょう。
2. 完璧主義とセルフハンディキャッピング
「どうせやるなら完璧にやりたい」という気持ちが強い人ほど、「そのうちね」を多用する傾向があります。完璧な準備が整うまで行動に移さない、あるいは失敗を恐れて行動自体を避ける。これは完璧主義の裏返しであり、さらに深刻な場合はセルフハンディキャッピングと呼ばれる心理が働いていることもあります。セルフハンディキャッピングとは、失敗した時の言い訳を作るために、あらかじめ行動に制限をかけることです。例えば、「忙しくて準備ができなかったから、うまくいかなくても仕方ない」という状況を無意識に作り出そうとするのです。
3. 実行意図の欠如と計画の曖昧さ
「いつか〇〇する」という漠然とした目標は、具体的な行動計画が伴わない限り、絵に描いた餅にすぎません。心理学では、具体的な行動計画を実行意図と呼びます。例えば、「そのうち英語を勉強する」ではなく、「毎日夜9時から30分間、オンライン英会話をやる」というように、いつ、どこで、何を、どのように行うかを具体的に決めることが重要です。この実行意図が曖昧であればあるほど、「そのうちね」という言葉が発動しやすくなります。
4. 時間割引(Time Discounting)
私たちは、将来得られる報酬よりも、今すぐに得られる報酬を高く評価する傾向があります。これを時間割引と呼びます。例えば、健康のために運動を始めることは将来の健康という大きな報酬につながりますが、今すぐソファーでくつろぐという短期的な快楽を優先してしまいがちです。「そのうちね」という言葉は、この時間割引が働き、目先の快適さを選んでしまう結果として現れるのです。
「そのうちね」の心のブレーキを解除する方法
1. 小さな一歩から始める(スモールステップ)
完璧なスタートを待つのではなく、まずは小さな一歩を踏み出すことが重要です。例えば、ブログを始めるなら、いきなり長文を書こうとせず、まずはタイトルだけ決める、見出しを考えるなど、ごくわずかな作業から始めましょう。心理学では、これをスモールステップと呼びます。行動のハードルを極限まで下げることで、行動への抵抗感を減らすことができます。
2. 目標を具体的に、実行意図を設定する
「そのうちね」を卒業するためには、漠然とした目標を具体的な行動に落とし込むことが不可欠です。「〇月〇日までに、〇〇を、〇分間やる」というように、日時、場所、内容、時間を明確に設定しましょう。カレンダーに書き込んだり、リマインダーを設定したりするのも効果的です。
3. 外部からのコミットメントを作る
誰かに目標を宣言したり、一緒に取り組む仲間を見つけたりすることで、行動へのモチベーションを高めることができます。これは外部からのコミットメントと呼ばれ、自分一人ではサボってしまいがちな行動を、他者との約束によって強制的に行う心理効果があります。SNSで目標を公開するのも一つの手です。
4. 自分を許し、完璧主義を手放す
「失敗してもいい」「完璧でなくても大丈夫」と自分に許可を与えることが、行動を始める上で非常に重要です。完璧を求めすぎると、最初の一歩が踏み出せなくなります。まずは行動すること自体を評価し、少しずつ改善していくという姿勢を持ちましょう。
5. 「なぜそれをしたいのか」を明確にする
あなたが本当に「そのうちね」と言っていることに情熱があるなら、それが達成された時にどのような良い変化があるのかを具体的に想像してみましょう。内発的動機付けを強化することで、行動へのエネルギーが湧いてきます。目標達成の先にどんな未来が待っているのかを鮮明に描くことで、心のブレーキを外す力になるでしょう。
「そのうちね」は、私たちの夢や目標を遠ざける心のブレーキです。しかし、その心理メカニズムを理解し、適切な対処法を実践することで、私たちはこのブレーキを解除し、行動のギアを入れることができます。今日から「そのうちね」を「今からね」に変えて、あなたの「いつかやりたいこと」を現実のものにしていきましょう。
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