「心の広さ」その本当の意味とは?アダルトチルドレンが陥りがちな罠
- nirin-so

- 1月21日
- 読了時間: 4分
「心が広い人になりたい」――。
私たちは多かれ少なかれ、そんな願いを持っているものです。世間一般では、怒らずに何でも受け入れることが「心の広さ」とされ、逆にいつまでも怒りを感じたり、相手を拒絶したりすることは「心が狭い」と片付けられがちです。
しかし、心理学的な視点から見ると、この解釈は少し危ういものだと言わざるを得ません。
実は、「許せないことがある=心が狭い」わけでも、「なんでも許す=心が広い」わけでもないのです。今回は、本当の意味での「心の広さ」とは何か、心理学の観点から紐解いていきましょう。
1. 「許せない」は、自分を守るための大切な防衛本能
心理学には、「パーソナル・バウンダリー(心の境界線)」という概念があります。これは、自分と他人の間にある目に見えない安全圏のようなものです。
誰かに嘘をつかれたり、尊厳を傷つけられたりしたとき、私たちは「許せない」という強い怒りを感じます。この怒りは、「自分の境界線が侵された」というアラートです。
もし、何でもかんでも許してしまったらどうなるでしょうか? 境界線はどんどん踏み荒らされ、自分の価値観や自尊心がボロボロになってしまいます。心理学的に見て、「許せない」という感情をしっかり持つことは、「自分を大切にする(自己肯定感)」という側面において、非常に健全な反応なのです。
「許せない」と思うのは、あなたが自分の価値を正しく認識し、自分を守ろうとしている証拠です。
2. 「なんでも許す」の裏に隠れた心理的リスク
一方で、どんなに不当な扱いを受けても「いいよ、気にしてないよ」と許してしまう人がいます。一見、仏のような広い心を持っているように見えますが、心理学的には以下のリスクが隠れている場合があります。
平和への執着(対立回避): 相手と向き合う怖さから逃げるために、許したことにしている(感情の抑圧)。
自分への無価値感: 「自分はどうせ大切にされない人間だ」という諦めから、怒るエネルギーを失っている。
共依存: 相手の過ちを許し続けることで、相手をダメにし、自分に依存させようとする。
これらは「心の広さ」ではなく、「自分の感情の放棄」に近い状態です。本当は傷ついているのに、その痛みに蓋をしてしまうことは、後に大きなストレスやメンタルヘルスの不調を招く原因となります。
3. 本当の「心の広さ」とは何か?
では、心理学的に言う「心の広い人」とは、どのような状態を指すのでしょうか。それは、「怒りを感じない人」でも「すべてを無条件で受け入れる人」でもありません。
本当の心の広さとは、「自分の感情を認めつつ、柔軟な選択肢を持てること」を指します。
① 自分の痛みを受け入れている
「私は今、あんなことを言われてとても傷ついたし、怒っている」と、自分の感情を否定せずに認められる強さ。これが第一歩です。
② 「許す」と「理解する」を分けて考える
相手の行為が「正しい」と認める必要はありません。「あの人は、ああいう背景があってあんな行動をとったんだな」と、相手の未熟さや背景を客観的に観察できる余裕のことです。
③ 適切な距離を選べる
「この人は私の境界線を越えてくる人だ。だから、今は距離を置こう」と、自分の安全を確保するための決断ができること。「許さないままで、穏やかに関係を断つ」ことも、立派な大人の対応であり、広い視点を持った行動です。
4. 「許し」は相手のためではなく、自分のためにある
心理学における「許し(Forgiveness)」の研究では、許しとは相手の罪を免除することではなく、「怒りや恨みという重荷を、自分の中から手放すこと」だと定義されることが多いです。
「許せない」という気持ちを抱え続けるのは、心の中に嫌いな相手を住まわせ続けているようなもので、自分自身が疲弊してしまいます。
しかし、それは「明日から許しましょう」という精神論ではありません。 「今はまだ許せない。それでいい」と自分を許すことから始まり、長い時間をかけて自分の傷を癒やしていく。そのプロセスの先に、いつかふと「もうどうでもよくなった」と思える瞬間が来る。それが本当の「解放」です。
結びに
「心が狭い」「親を許さないなんて…」と言われることを恐れて、無理に自分を納得させる必要はありません。
大切なものを傷つけられたら、怒っていい。
自分の境界線を守るために、NOと言っていい。
どうしても受け入れられないことは、許さなくていい。
「許さない自分」を許してあげること。 それこそが、自分自身に対する「心の広さ」の第一歩ではないでしょうか。
あなたの心は、誰かのためにあるのではなく、まずあなた自身の尊厳を守るためにあるのです。

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