「正しい」ってなんだ?から始まる自分の思考の癖を探る旅
- nirin-so

- 7月29日
- 読了時間: 4分
私たちは日々、さまざまな決断を下し、物事を判断しています。その根底には、自分なりの「正しさ」がありますよね。「これは正しい」「あれは間違っている」そう考えるのは自然なことです。でも、ちょっと立ち止まって考えてみませんか? その「正しい」って、本当に揺るぎないものなのでしょうか?
あなたの「正しさ」の源泉はどこに?
心理学的に見ると、「正しい」と感じる基準は、私たちの育った環境、経験、文化、そして個人的な価値観によって大きく形成されます。例えば、幼い頃に「嘘をついてはいけない」と教えられた人は、正直であることを「正しい」と強く感じるでしょう。また、競争の激しい環境で育った人は、成果を出すことを「正しい」と捉えるかもしれません。
これは、心理学でいう「スキーマ」という概念に近いと言えます。スキーマとは、私たちが世界を理解し、解釈するための枠組みのようなもの。過去の経験から構築されたこの「メガネ」を通して、私たちは物事を見ているんです。だから、同じ出来事を見ても、人によって受け取り方や評価が異なるのは当然なんですね。
「正しさ」は十人十色:認知バイアスという落とし穴
「正しさ」が人それぞれであることの大きな要因の一つに、認知バイアスがあります。これは、私たちが物事を認識したり、判断したりする際に、無意識のうちに特定の方向に偏ってしまう傾向のこと。代表的なものをいくつか見てみましょう。
確証バイアス: 自分の信じていることを裏付ける情報ばかりを集め、反対意見には耳を傾けない傾向です。「やっぱり私の考えは正しかった!」と感じるとき、このバイアスが働いていることが多いかもしれません。
正常性バイアス: 予期せぬ異常事態が起きても、「自分だけは大丈夫」「たいしたことない」と思い込み、状況を過小評価してしまう傾向。災害時などに、「まさか自分が」と感じるのもこれです。
利用可能性ヒューリスティック: 頭に浮かびやすい情報や、最近見聞きした情報に基づいて判断を下してしまう傾向。「ニュースでよく見るから、きっとそれが正しい」といった感覚ですね。
これらのバイアスは、私たちが効率的に意思決定をする上で役立つこともありますが、同時に「自分の正しさ」を盲信し、他者の意見を受け入れにくくする原因にもなり得ます。つまり、「私は正しい!」と強く主張するとき、それはあなたの認知バイアスが作り出した「幻想」である可能性もゼロではないんです。
「思考の癖」を見つけるヒント
自分の「思考の癖」に気づくことは、より柔軟な考え方や、多様な意見を受け入れる第一歩になります。では、どうすればその「癖」を見つけられるのでしょうか?
「なぜそう思うんだろう?」と自問自答する: 何かを「正しい」と感じたとき、その理由を深掘りしてみましょう。「なぜ私はこれが正しいと思うのだろう?」「この考えは、いつ、どのようにして自分の中に生まれたのだろう?」と問いかけることで、無意識の思い込みに気づくきっかけになります。
異なる意見に耳を傾ける: 自分とは違う意見に出会ったとき、すぐに否定せずに、まずは「なるほど、そういう考え方もあるのか」と受け止めてみましょう。相手の背景や価値観を想像することで、自分の「正しさ」が唯一のものではないことに気づけます。
完璧主義を手放す: 「完璧に正しい答え」を求めすぎると、かえって視野が狭くなることがあります。「これで十分」と割り切る柔軟さも大切です。
感情の動きに注目する: 強い感情(怒りや不安など)が湧き上がったとき、その感情があなたの「正しさ」の判断に影響を与えていないか、冷静に観察してみましょう。
「正しさ」の多様性を受け入れるということ
私たちは皆、それぞれ異なる「正しさ」を持っています。それは決して悪いことではありません。むしろ、その多様性があるからこそ、社会は豊かになり、新しい価値が生まれるのです。
自分の「正しさ」を疑うことは、決して自分を否定することではありません。それは、もっと広い視野で物事を捉え、他者とのより良い関係を築くための、建設的な自己探求なのです。
今日から少しずつで構いません。「正しい」と感じたその瞬間に、「本当にそうかな?」と問いかけてみてください。その問いかけが、あなたの世界をより豊かにするきっかけになるはずです。
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