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アダルトチルドレンはノーシーボ(ノセボ)効果が通常運転になっている?~プラシーボ(プラセボ)効果とノーシーボ(ノセボ)効果

心の持ちようが体に影響を与える「病は気から」という言葉。


心理学の世界では、これを「プラシーボ(プラセボ)効果」「ノーシーボ(ノセボ)効果」という言葉で説明します。

特に、機能不全家族の中で育ち、生きづらさを抱える「アダルトチルドレン(AC)」の方々にとって、この「ノーシーボ効果」は単なる心理現象ではなく、日常を支配する「通常運転」の状態になっていることが少なくありません。


今回は、この2つの効果のメカニズムと、アダルトチルドレンがなぜノーシーボのループに陥りやすいのか、そしてそこから抜け出すためのヒントを心理学的な観点から紐解いていきます。



1. プラシーボ効果とノーシーボ効果とは?


まずは、言葉の定義を整理しておきましょう。


プラシーボ効果(偽薬効果)

本来は薬理作用のない物質(ブドウ糖など)を「これは効く薬だ」と信じて服用することで、症状が改善する現象です。「良くなる」というポジティブな期待が脳内の報酬系を刺激し、ドーパミンやエンドルフィンといった鎮痛・快楽物質を放出させます。


ノーシーボ効果(反偽薬効果)

プラシーボの反対で、「これは副作用がある」「これをすると悪くなる」というネガティブな期待や不安によって、実際に心身に不調が現れる現象です。

例えば、ただのビタミン剤を「吐き気がする薬だ」と言われて飲むと、本当に吐き気を催してしまうような状態を指します。脳内ではストレスホルモンであるコルチゾールが分泌され、痛みに敏感になったり、自律神経が乱れたりします。



2. アダルトチルドレンにとっての「ノーシーボ」が通常運転な理由


アダルトチルドレン(AC)の方々は、幼少期に親の顔色を伺い、いつ怒り出すかわからない、あるいは無視されるといった、予測不能で安心できない環境で育っています。

この環境を生き抜くために身につけた「生存戦略」それこそが、実はノーシーボ効果を誘発する土壌となっているのです。


① 「最悪の事態」を想定する防衛本能

ACの方は、常に「何か悪いことが起きるのではないか」と警戒する過覚醒(ハイパー・ヴィジランス)の状態にあります。

「期待して裏切られるよりは、最初からダメだと思っていたほうが傷つかない」という防衛本能が働くため、無意識のうちに「物事は悪い方向へ進む」という強力なノーシーボ・フィルターを通して世界を見るようになります。


② 思考の癖:認知の歪み

心理学者のアーロン・ベックが提唱した「認知の歪み」の中でも、ACの方は特に以下の傾向が強いと言えます。

  • 破滅的思考: 小さなミスを「人生の終わりだ」と思い込む。

  • 心のフィルター: 10の褒め言葉よりも、1つの批判(または批判の予感)に執着する。

  • マイナス思考: 良い出来事さえも「次はもっと悪いことが起きる前兆だ」と否定的に捉える。

これらの思考は、脳に対して常に「今は危険だぞ」という信号を送り続けています。その結果、慢性的な頭痛、胃痛、倦怠感といった身体化症状(サイコソマティック)として現れるのです。



3. ノーシーボのループがもたらす「自己充足的予言」


心理学には「自己充足的予言」という言葉があります。

「自分は嫌われている(ノーシーボ的予感)」と思い込むと、無意識に相手を避けたり、おどおどした態度を取ったりしてしまいます。その不自然な態度が相手に違和感を与え、結果として本当に距離を置かれてしまい、「やっぱり私は嫌われているんだ」と確信する……という悪循環です。

ACの方にとって、この「予感した不幸が現実になる」プロセスは、非常に強力なノーシーボ効果の連鎖を生み出します。



4. 「通常運転」を書き換えるための心理学的アプローチ


「ノーシーボが通常運転」という状態は、長年かけて脳に刻まれた回路です。これを変えるには、少しずつ新しい回路を上書きしていく必要があります。


ステップ1:ノーシーボに気づく

まずは、自分が今「ノーシーボ効果を発動させている」ことに気づくことから始めます。

「あ、今自分は『どうせうまくいかない』という呪いを自分にかけているな」と客観的に観察する(メタ認知)練習です。


ステップ2:セルフコンパッション(自分への慈しみ)

ACの方は自分に厳しすぎる傾向があります。ノーシーボな思考が出てきたとき、「そんなこと思っちゃダメだ」と否定するのではなく、「そう思ってしまうほど、自分は今まで自分を守ろうとして頑張ってきたんだね」と寄り添ってあげてください。


ステップ3:中立的な事実を見る

「悪いことが起きる」という期待に対して、「そうなる証拠は?」「そうならない可能性は?」と自問自答します。プラシーボ(過度な期待)まで持っていくのが難しければ、まずは「中立(ニュートラル)」を目指すのがコツです。



結びに:毒を薬に変える力


かつて生き延びるために必要だった「ノーシーボ(警戒心)」は、今のあなたを苦しめる鎖になっているかもしれません。しかし、脳には神経可塑性があり、何歳からでも新しい思考の癖を学ぶことができます。


「信じる」という力が、心身を蝕む毒(ノーシーボ)になるのであれば、それは裏を返せば、自分を癒やす薬(プラシーボ)に変える力も持っているということです。

あなたの心の中にいる「怯えている子供」に、少しずつ「もう安心しても大丈夫だよ」という新しい予感を届けてあげませんか?


もう大丈夫
もう大丈夫

 
 
 

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