人が動く理由は2つ「快」か「不快」か
- nirin-so

- 2025年6月9日
- 読了時間: 4分
前回、やりたいことが見つからないとき、のお話をしましたが、今回はいざやりたいことが見つかってやり始めたけど、続かない...そんな時に役立つお話になるかと思います。
人が行動を起こすとき、そこには必ず目的があります。その目的意識こそが、私たちの行動を突き動かす原動力となるのです。「何のために?」という問いは、私たちが一歩を踏み出す前に、あるいは踏み出した後に、常に自分自身に問いかけるべき重要な問いと言えるでしょう。
行動の二大原動力:快の追求と不快の回避
心理学的に見ると、人が行動する理由は大きく分けて2つしかありません。
快を得るため(快楽原則):これは、喜び、満足感、達成感、快適さなど、ポジティブな感情や状態を求めて行動する原理です。例えば、美味しいものを食べる、趣味に没頭する、旅行に行く、好きな人と過ごすといった行動がこれにあたります。私たちは、これらの快楽を予期し、あるいは実際に体験することで、行動へのモチベーションを高めます。
不快や痛みを避けるため(苦痛回避原則):これは、不安、恐怖、苦痛、不快感、後悔など、ネガティブな感情や状態を避けようと行動する原理です。例えば、宿題を終わらせる(怒られるのを避けるため)、健康診断に行く(病気になるのを避けるため)、嫌な上司との接触を避ける、失敗しないように準備するといった行動がこれにあたります。私たちは、不快な状況を避けたいという強い願望によって、行動を促されることがあります。
この2つの原理は、私たちの日常的な意思決定や行動選択の根底に深く根ざしています。
「不快」の力は「快」の約5倍? 行動の起爆剤としての不快
心理学研究、特に損失回避の概念によれば、「不快を避けたい」という動機は、「快を得たい」という動機よりもはるかに強力であるとされています。これは、損失に対する人間の心理的な反応が、同等の利益に対する反応よりも大きいという現象で、行動経済学のプロスペクト理論などでも説明されています。
具体的には、何かを得る喜びよりも、何かを失う痛みの方が、私たちに与える心理的な影響が大きいのです。この「不快を避けたい」という力が、「快を得たい」という力の約5倍にもなると言われることがあります。もちろん、これは一般的な傾向を示すものであり、状況や個人の性格によっても異なりますが、不快が行動の強力な起爆剤となることは間違いありません。
例えば、
「昇給するかもしれない」という期待よりも、「給料が減るかもしれない」という不安の方が、仕事への集中力を高めることがあります。
「健康になるために運動する」という動機よりも、「病気になりたくないから運動する」という動機の方が、行動を持続させやすい場合があります。
「褒められたい」という欲求よりも、「批判されたくない」という恐れの方が、準備を徹底させる力を持つことがあります。
この不快回避のメカニズムは、私たちが危機を回避したり、危険な状況から身を守ったりするために非常に重要な役割を果たしてきました。生存本能に深く根ざした、非常に原始的で強力な行動原理なのです。
不快を逆手にとる行動戦略
この「不快を避ける」という強力な動機を理解することは、私たちの行動を変えたり、他者の行動を促したりする上で非常に有効です。
自分自身の行動を促す場合:
目標達成のために、達成できなかった場合の「不快な結果」を具体的に想像してみましょう。「もしこの目標を達成できなかったら、どんな後悔や不快感を味わうだろうか?」と考えることで、行動へのモチベーションが高まることがあります。
他者の行動を促す場合:
相手に何らかの行動を促したいとき、その行動を取らないことによって生じる「不利益」や「不快な状況」を明確に伝えることが、ポジティブな側面を強調するよりも効果的な場合があります。ただし、これは相手を脅すのではなく、論理的に、そして建設的に伝えることが重要です。
快と不快のバランス
しかし、不快だけを行動の原動力にするのは健全ではありません。常に不快を避けるためだけに動いていると、精神的な疲弊やストレスにつながる可能性があります。人生の喜びや充実感は、やはり「快」の追求によってもたらされるものです。
理想的なのは、「快を得る」というポジティブな動機と、「不快を避ける」というネガティブな動機の両方を理解し、状況に応じて使い分けることです。
困難な課題や緊急性の高い問題に対しては、不快回避の力を利用して一気に片付ける。
長期的な目標や創造的な活動には、快の追求によってモチベーションを維持する。
このように、私たちの行動は、常に「何のために?」という目的意識に支えられています。そして、その目的を達成するための原動力として、「快の追求」と「不快の回避」という2つの強力な心理的メカニズムが働いていることを理解することは、自己理解を深め、より効果的な行動を促すための第一歩となるでしょう。
あなたは今、何のために行動していますか? そして、その行動の背後には、どのような「快」や「不快」が存在しているでしょうか?
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