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人間関係に疲れたあなたへ ~「わからない」からこそ優しくなれる

更新日:1 日前

「どうしてあの人は、私の気持ちをわかってくれないんだろう?」

「普通、こういう時はこうするものでしょう?」


人間関係の悩みは、つきつめればこの「期待とのズレ」に行き着くことが多いものです。

家族、恋人、友人、職場の同僚……。

大切にしたい関係であればあるほど、このズレは私たちを苦しめます。


今日は、そんな人間関係の疲れを根本から癒やすための、「心の視点」についてお話しします。


同じ場所にいても、見ている世界は全く違う


心理学的なお話をしましょう。


例えば、ここにAさんとBさんという二人の人物がいて、全く同じ場所で、全く同じ出来事を経験したとします。


夕焼けを見ていたとしましょう。

Aさんはその夕焼けを見て「なんて美しいんだろう、明日も頑張ろう」と感動するかもしれません。

しかし、隣にいるBさんは「なんだか寂しい色だな。昔、失敗した日のことを思い出す」と落ち込むかもしれません。


同じ事実(夕焼け)を見ているのに、心に生まれる感情(現実)は全く別物です。


なぜ、こんなことが起こるのでしょうか?


それは、二人が「違う人生」を生きてきているからです。

心理学ではこれを「認知的評価」「スキーマ(思考の枠組み)」の違いと呼びます。


私たちは皆、過去の経験、記憶、育った環境によって作られた、自分だけの「色眼鏡(フィルター)」をかけて世界を見ています。


Aさんのフィルターと、Bさんのフィルターは、素材も色も度数も違います。

ですから、二人が同じことを感じるということは、実は「奇跡」に近い確率であり、基本的には「ありえないこと」なのです。


「同じはずだ」という錯覚が苦しみを生む


人間関係が複雑になり、疲れてしまう最大の原因。


それは、「私たちは同じ人間なのだから、話し合えば完全にわかりあえるはずだ」という、美しくも残酷な錯覚にあります。


「言わなくてもわかるはず」

「自分だったらこうするのに」


これらはすべて、「相手も自分と同じフィルターを持っているはずだ」という前提から生まれる発想です。


心理学的に見れば、これは「境界線(バウンダリー)の曖昧さ」とも言えます。

自分と他者の領域が混ざり合ってしまっている状態です。


はじめから不可能なこと(=完全に同じ感覚を持つこと)を「可能だ」と信じていると、

相手が違う反応をした時に、「裏切られた」「冷たい」「相性が悪い」と勝手に傷ついてしまいます。


これが、人間関係の疲れの正体です。


すれ違いや苦しみは、相手の言動そのものではなく、「相手への過度な期待」と「現実」のギャップから生まれているのです。


「わからない」をスタートラインにする


では、どうすればいいのでしょうか?

諦めて、心を閉ざすべきなのでしょうか?


いいえ、逆です。


「相手が自分と同じように感じることは決してない」

「相手の感じたことを、完全に知ることはできない」


そう、潔く認めてしまうのです。


冷たく聞こえるかもしれませんが、これは「相手を独立した一人の人間として尊重する」という、愛のある態度です。


「わからない」という前提に立つと、不思議なことに、肩の力が抜けていきます。

「なんでわかってくれないの?」という怒りが消え、代わりに新しい感情が芽生えます。

それは、想像力です。


「知る」ことはできなくても、「寄り添う」ことはできる


相手の心の中を100%トレースすることは不可能です。

でも、だからこそ、私たちは想像力を働かせることができます。


「私にはこの夕焼けが綺麗に見えるけれど、あの人にはどう見えているのかな?」

「私とは違うフィルターを通して、何を感じているんだろう?」


これが、本当の意味での「共感(エンパシー)」への第一歩です。


「わかるよ」と安易に言うことだけが共感ではありません。

「私とは違うけれど、あなたはそう感じたんだね」と、違いをそのまま受け止めること。

未知の領域だからこそ、「どんな風に感じているの?」と関心を持って想像し、その感情の隣にそっと座ること。


これこそが、大人ができる最良の「寄り添い」ではないでしょうか。


まとめ:関係をシンプルにする魔法


人間関係で疲れないコツ。

それは、「自分と相手は、全く別の星に住む異星人のようなもの」だと、腹を括っておくことです。

  • わかってもらえなくて当たり前。

  • 同じように感じなくて当たり前。

  • 意見が食い違って当たり前。


ここをスタートラインにすれば、少しでも共感できた時に「すごい!通じ合えた!」という喜びが生まれます。


減点方式(なんでできないの?)ではなく、加点方式(通じ合えて嬉しい)で人間関係を捉えられるようになります。


「わからないからこそ、わかろうとして言葉を交わす」

「違うからこそ、相手の世界に興味を持てる」


そう考えれば、人間関係はもっとシンプルで、もっと温かいものになるはずです。


記憶のフィルターが違う私たち。

だからこそ、お互いの「違い」を、面白がれるくらいの余裕を持って生きていきたいですね。


 
 
 

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