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取り越し苦労は人の性?

夜、ふと将来が不安になって眠れない

まだ起きていない問題に対して、最悪のシチュエーションばかりシミュレーションしてしまう……。


そんな「取り越し苦労」に悩まされている方は多いはず。

実はこれは、あなたの性格でも、悲観主義者だからでもありません。

「取り越し苦労」は、人間が生き延びるためにプログラミングされた本能なのです。


今回は、なぜ私たちの脳は「起きもしない心配事」を量産してしまうのか?その理由を心理学と脳科学の視点から紐解き、「心配事の9割は起こらない」という言葉の真意をお話しようと思います。



1. 脳の「煙探知機」が暴走している?(脳科学的視点)


私たちの脳には、生存に欠かせない「扁桃体(へんとうたい)」という部位があります。

これは、危険を察知してアラートを鳴らす「煙探知機」のような役割を果たしています。


原始時代、茂みがガサガサと揺れたとき、「ただの風だろう」と楽観視した祖先は猛獣に食べられてしまいました。一方で、「ライオンかもしれない」と最悪の事態を想定して逃げ出した(取り越し苦労をした)祖先は生き残り、その遺伝子を私たちに繋いできました。

つまり、現代人の脳は「不安を感じやすい個体の末裔」で構成されているのです。


現代社会には猛獣はいませんが、脳は「上司の機嫌」「老後の資金」「SNSの反応」といったストレスを、命を脅かす猛獣と同じレベルの「危機」として処理してしまいます。

脳科学的に見れば、取り越し苦労は、あなたの脳が正常に「あなたを守ろうとしている証拠」なのです。



2. なぜ「9割は起こらない」と言えるのか(心理学的視点)


心理学の世界では、私たちが抱く不安の正体について興味深いデータがあります。

米国ペンシルベニア州立大学の研究によると、「心配事の79%は実際には起こらず、残りの16%は準備をしていれば対処可能なものだった」という結果が出ています。


つまり、自力ではどうにもならない壊滅的な事態が起こる確率は、わずか5%程度

私たちが頭を抱えている問題のほとんどは、実際には霧のように消えていくものなのです。


では、なぜ私たちは「9割は起こらない」と分かっていても不安を手放せないのでしょうか? そこには「ネガティビティ・バイアス」という心理作用が働いています。


ネガティビティ・バイアスとは 人間はポジティブな情報よりも、ネガティブな情報に注意を向けやすく、記憶にも残りやすいという性質のこと。1つの成功よりも、1つの失敗の方が強く心に刻まれるのはこのためです。

このバイアスのせいで、脳内では「起こるはずのない1割の恐怖」が、残りの9割の平穏を飲み込んでしまうのです。



3. 「取り越し苦労」を「賢い準備」に変える3つのステップ


本能である以上、不安をゼロにするのは不可能です。しかし、脳の仕組みを理解すれば、そのボリュームを絞ることはできます。


① 不安を紙に書き出す(ジャーナリング)

脳が不安を反芻するのは、「忘れてはいけない警告」だと思っているからです。紙に書き出すことで、脳は「あ、記録されたんだな」と安心し、アラートを止めやすくなります。


② 「今、ここ」に集中する(マインドフルネス)

取り越し苦労は常に「未来」にあります。しかし、私たちが干渉できるのは「現在」だけです。「今、コーヒーが温かい」「今、キーボードを叩いている」といった五感の情報に意識を戻すと、脳の過剰なアイドリングが収まります。


③ 「それって本当?」と自分にツッコミを入れる

不安が襲ってきたら、「これは扁桃体が過剰反応しているだけじゃないか?」「実際に起こる確率は何%だろう?」と、客観的なデータ(前述の79%の法則など)をぶつけてみてください。感情ではなく、論理で脳を説得するイメージです。



結論:取り越し苦労は、あなたが「生きようとしている」証


「取り越し苦労をしてしまう自分はダメだ」と自分を責める必要は全くありません。

それはあなたの脳が、あなたを死なせないために一生懸命働いている結果なのですから。

「あ、また脳がライオンを探してるな」

そんなふうに、少しユーモアを持って自分の不安を眺めてみてください。

心配事の9割は、明日には形を変え、来年には忘れてしまっているようなことばかりです。

本能と上手に付き合いながら、もう少しだけ肩の力を抜いて生きてみませんか。





 
 
 

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