夢を現実に変える力:「取らぬ狸の皮算用」のススメ
- nirin-so

- 9月29日
- 読了時間: 4分
私たちはよく「取らぬ狸の皮算用」を戒めの言葉として使います。物事がまだ成功していないうちから、その成果を当てにして計画を立てるのは軽率だ、という意味合いですね。
しかし、実はこの行動、脳の機能を活用し、夢を実現させるための強力なツールになり得ることをご存知でしょうか?
今回は、心理学や脳科学の視点から、この「皮算用」の意外なメリットについてお話しします。
脳のサーチエンジン、RAS機能とは?
まず、脳のRAS(Reticular Activating System:網様体賦活系)について。RASは、脳の幹にあるフィルターのような役割を果たす部分です。私たちの脳には常に膨大な情報が流れ込んでいますが、そのすべてを意識的に処理することはできません。そこで、RASは「自分にとって重要だ」と判断した情報だけを意識に上げ、それ以外の情報をシャットアウトする働きをします。
たとえば、「新しい車が欲しい」と思っていると、街中で同じ車種を見かけることが増えたり、その車の広告が目に留まるようになったりしませんか? これは、RASが「車」というキーワードを重要だと認識し、関連する情報を積極的に拾い上げているからです。
「皮算用」がRASを活性化させる
「取らぬ狸の皮算用」をするとき、私たちは頭の中で成功した未来を具体的に想像します。「このプロジェクトが成功したら、こんな風に評価されるだろう」「この資格を取ったら、こんな仕事ができるようになるだろう」といった具合です。
この「成功した未来を具体的に想像する」という行為が、まさにRASを活性化させる鍵なのです。
未来のビジョンを具体的に描くことで、脳はそれを「重要で、達成すべき目標」だと認識します。すると、RASはその目標達成に必要な情報や機会を、私たちの周りから探し始めるようになります。
たとえば、起業を夢見て「将来、自分のカフェを持ったら、こんな内装にして、こんなメニューを出そう」と具体的に皮算用をすると、今まで何気なく見ていた街中のカフェの内装が気になったり、経営に関する本が目に留まったりするようになります。これは、脳がカフェ開業に必要な情報を無意識に収集している状態です。
ゴールセッティング効果とモチベーションの維持
心理学の世界では、ゴールセッティング理論というものがあります。これは、明確で具体的な目標を設定することが、パフォーマンスの向上につながるという理論です。
「頑張って働こう」という曖昧な目標よりも、「来月までに売上を20%上げる」という具体的な目標の方が、私たちは行動しやすくなります。
「取らぬ狸の皮算用」は、このゴールセッティングをより効果的にします。成功した時の具体的な感情や景色まで想像することで、その目標に対する感情的な結びつきが強くなります。これにより、モチベーションが維持され、挫折しそうになった時も「あの未来を手にしたい!」という強い動機が、私たちを後押ししてくれるのです。
行動を促す「自己効力感」
さらに、皮算用には「自己効力感」を高める効果もあります。自己効力感とは、「自分ならできる」という感覚のことです。
私たちは、成功した未来を思い描く過程で、「どうすればそれが実現できるか」という具体的な道筋を考え始めます。「この資格を取るためには、まずこの本を読んで、次にこのセミナーに参加しよう」といった具体的な行動計画が生まれてきます。
このプロセス自体が、「自分には目標を達成する能力がある」という自信につながり、行動を起こすためのエネルギーになります。
まとめ:賢く「皮算用」を活用しよう
もちろん、皮算用ばかりして行動に移さなければ、夢は夢のままです。
しかし、目標を立てたものの、なかなか行動に移せない…という時こそ、「取らぬ狸の皮算用」を意識的に使ってみましょう。
具体的な未来を想像する:成功した時の感情、見える景色、聞こえる音など、五感をフル活用してリアルに思い描いてみる
情報を意識的に集める:RASが活発になったら、関連情報にアンテナを張り、積極的にインプットする
最初の一歩を踏み出す:想像した未来から逆算して、今日からできる小さな行動を一つ決めて実行する
「取らぬ狸の皮算用」は、ただの空想ではありません。夢を現実化するための、脳科学に基づいた強力な戦略なのです。さあ、あなたも今日から、ワクワクするような「皮算用」を始めてみませんか?
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