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心理的リアクタンスとは? ~あまのじゃくな心理の正体~

心理的リアクタンスとは、一言でいうと「自分の自由な選択を他人から制限されたり、脅かされたりしたときに、無意識に反発してしまう心理」のことです。

私たちは誰でも「自分のことは自分で決めたい」という欲求を持っています。その「自分で決める自由」が奪われそうになると、自由を取り戻そうとして、言われたこととは逆の行動を取りたくなってしまうのです。

よく言われる「あまのじゃく」な態度や、「押すなよ、絶対に押すなよ!」と言われると押したくなる心理は、まさにこの心理的リアクタンスが働いている状態です。


日常にあふれる心理的リアクタンスの具体例

この心理は、私たちの日常生活の様々な場面で見られます。


具体例1:親に「勉強しなさい!」と言われるとやる気がなくなる

  • 状況:リビングでくつろいでいるとき、親から「いつまでゴロゴロしてるの!早く勉強しなさい!」と言われる。

  • 心理:「そろそろ勉強しようかな」と自分では思っていたのに、命令されたことで「自分で決める自由」が脅かされます。

  • 結果:反発心が生まれ、「今やろうと思ってたのに!」「言われたからやりたくない」と感じ、わざと別のことを始めたりします。

これは、勉強の内容が嫌なのではなく、「勉強するタイミングを強制されたこと」に対してリアクタンスが生じています。


具体例2:「絶対に買ってください!」と強く勧められると買いたくなくなる

  • 状況:洋服店で店員に「お客様に絶対お似合いです!限定品なので今買わないと損ですよ!」と強く勧められる。

  • 心理:「買うか・買わないか」という自分の自由な選択を、店員の強い言葉によって奪われそうに感じます。

  • 結果:「この店員は売りつけようとしているな」と警戒し、たとえ良い商品だったとしても「今はやめておこう」と購入を避けてしまいます。

逆に、「ご試着だけでもいかがですか?無理にとは言いませんので」のように、選択の自由がこちらにあると感じられると、安心して商品を見ることができます。


具体例3:ネタバレを頑なに避ける

  • 状況:楽しみにしている映画の結末を、友人やネット上の書き込みによって知らされそうになる。

  • 心理:「自分のタイミングで、自分の目と耳で結末を知る」という楽しみ(自由)が脅かされます。

  • 結果:「言わないで!」「見ないようにしよう」と、自分の自由を守るために必死に情報を避けようとします。


具体例4:「カリギュラ効果」― 禁止されるほどやりたくなる

心理的リアクタンスが特に強く現れるのが「禁止」されたときです。これを「カリギュラ効果」と呼びます。

  • 昔話の「鶴の恩返し」:「決して戸の中を覗いてはなりません」と言われると、中が気になって仕方なくなり、最終的に覗いてしまいます。

  • 過激な映画やR指定のコンテンツ:「閲覧注意」「18歳未満禁止」などと制限されると、かえって興味をそそられ、見たくなってしまいます。

これは、「見てはいけない」という禁止が、「見る・見ないの自由」を強く制限するため、その制限に反発して「見たい」という欲求が強くなるのです。


心理的リアクタンスを和らげるには?(応用)

この心理を理解すると、人間関係やコミュニケーションを円滑にするヒントが得られます。誰かにお願いをしたり、説得したりする際には、相手のリアクタンスを生まない工夫が有効です。

  • 命令ではなく、提案や質問の形にする

    • (×)「この仕事、今日中にやっておいて」

    • (○)「この仕事、今日中にお願いできるかな?」

    • (○)「AとBの仕事、どちらか先に手伝ってもらえないかな?」

  • 相手に選択肢を与え、自己決定感を尊重する

    • (×)「夕食はカレーにするから」

    • (○)「夕食、カレーかうどん、どっちがいい?」

  • 理由を丁寧に説明する

    • なぜそれをしてほしいのか、理由を添えることで、相手は一方的な命令だと感じにくくなります。


まとめ

心理的リアクタンスは、「自分の自由を守りたい」という人間にとって自然な心の働きです。この心理を理解することで、なぜ人が反発するのかが分かり、より良いコミュニケーションを築くための手がかりになります。また、自分が何かに対して反発心を感じたとき、「これは心理的リアクタンスかもしれない」と一歩引いて考えることで、より冷静で合理的な判断ができるようになるでしょう。


 
 
 

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