突然襲い掛かる不安~苦しみから解放されるために
- nirin-so

- 1月16日
- 読了時間: 4分
突然の激しい動悸、胸が締め付けられるような感覚、そして「この世が終わってしまうのではないか」というほどの強烈な不安……。
アダルトチルドレン(AC)の方にとって、こうした不安は決して珍しいものではありません。
しかし、その正体がわからず、「自分が弱いからだ」「自分がおかしいからだ」と自分を責めてしまうことで、さらに苦しみのスパイラルに陥ってしまうことも少なくありません。
今回は、心理学的な観点から「なぜアダルトチルドレンは強烈な不安に襲われるのか」、そして「どうすればその苦しみから解放され、楽になれるのか」を丁寧にお伝えしたいと思います。
1. なぜ「強烈な不安」が襲ってくるのか?
心理学の視点で見ると、その不安は「今のあなた」が感じているというより、あなたの心の中にいる「インナーチャイルド(傷ついた子供時代の自分、気持ち)」が上げている悲鳴だと言えます。
過去の「サバイバル戦略」の残り香
機能不全家族(アルコール依存、虐待、過干渉、あるいは感情の交流がない家庭など)で育った子供は、常に親の顔色を伺い、いつ爆発するかわからない空気を察知して生きる必要がありました。
この時、脳は常に「闘争・逃走反応(ハイパー・ヴィジランス:過覚醒)」の状態にあります。本来、危機が去ればこのスイッチはオフになりますが、家庭が安らげる場所ではなかった場合、スイッチは「オン」のまま固定されてしまいます。大人になっても、脳が「まだ危険な場所にいる!」と誤認し続けていることが、突然の不安の正体です。
2. 不安を和らげるための「心理学的アプローチ」
この不安から抜け出すためには、「根性」や「我慢」は逆効果です。脳と心に「今はもう安全なんだよ」と教えてあげる作業が必要です。
① 「グラウンディング」で今ここに戻る
強烈な不安に襲われたとき、意識は「過去の恐怖」や「未来の絶望」に飛んでしまっています。まずは物理的に「今」に戻りましょう。
5-4-3-2-1法: 目に見えるものを5つ探す(時計、コップ、木……)
聞こえる音を4つ探す(車の音、冷蔵庫の音……)
肌で感じるものを3つ探す(椅子の感触、服の柔らかさ……)
匂いを2つ嗅ぐ
味を1つ確認する(飲み物の味など)
五感を使うことで、脳の暴走を止め、神経系を鎮めることができます。
② 不安に名前をつける(ラベリング)
不安に飲み込まれそうなときは、「私は今、不安という感情の中にいる」と客観的に実況中継をしてみてください。「不安=自分自身」ではなく、「私(観察者)」と「不安(感情)」を切り離すことで、飲み込まれる感覚が和らぎます。
③ インナーチャイルドへの声掛け
不安が強いとき、心の中の小さなあなたが震えています。その子に向かって、大人のあなたとして優しく声をかけてあげてください。
「怖かったね。あんな環境で一生懸命生きてきたんだもんね。でも大丈夫、今はもう大人の私が見守っているから。あなたはもう、独りじゃないよ」
これは心理学で「セルフ・ペアレンティング(自分自身を再育成する)」と呼ばれる重要なプロセスです。
3. 「毒親」からの心理的自立と境界線
アダルトチルドレンの不安の根底には、「自分はありのままでは価値がない」「見捨てられるかもしれない」という「根源的な恐怖(毒性の羞恥心)」が潜んでいることが多いです。
この苦しみから解放されるためには、他人と自分との間に適切な「境界線(バウンダリー)」を引く練習が必要です。
「NO」と言ってもいい。
誰かの機嫌を直す責任は、あなたにはない。
あなたは、自分の人生を幸せにする義務がある。
これらを自分に許可してあげてください。最初は罪悪感が出るかもしれませんが、それはあなたが健康な自分を取り戻そうとしている証拠です。
4. 専門家のサポートを借りる勇気
アダルトチルドレンの抱える不安は、長い年月をかけて蓄積されたものです。一人で解決しようとすると、その重みに押しつぶされそうになることもあります。
心理カウンセリング(特に認知行動療法やトラウマケア、スキーマ療法など)は、あなたの脳の配線を書き換え、安全な感覚を育む手助けをしてくれます。専門家という「伴走者」を得ることは、決して弱さではなく、自分を大切にするための賢明な選択です。
最後に:あなたは、幸せになっていい
強烈な不安に襲われるのは、あなたがダメな人間だからではありません。ただ、あまりにも過酷な環境を生き抜くために、心が「超高性能な警戒アラーム」を付けざるを得なかっただけなのです。
アラームを無理やり壊す必要はありません。「もう大丈夫だよ、今まで守ってくれてありがとう」と、少しずつ感度を下げていけばいいのです。
あなたはもう、あの頃の無力な子供ではありません。一歩ずつ、自分のペースで、穏やかな日常を取り戻していきましょう。その一歩は、今日この文章を読み、自分の心に向き合ったことから既に始まっています。

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